院長ブログ

癒合歯について

2024/03/11

日本人の乳歯癒合歯の発生率は2〜5%と報告されています。そのほとんどが上下の前歯部で私は奥歯での癒合歯は見たことがありません。乳歯に癒合歯があった場合、皆さんが気にされるのは後に出てくる大人の歯(永久歯)が同じ様に癒合していないかだと思います。癒合歯について2013年に辻野先生等が行った調査によると後続永久歯は①通常通りに萌える49.4%(歯種による)②1歯が先天欠如49.4%③後続永久歯も癒合歯1.2%と報告されており、結果としては癒合歯の後に続く永久歯は通常通りか先天欠如が現れるかのどちらかになると言えます。そして②の場合は歯数が不足するため、永久歯列に歯並びや噛み合わせの影響が現れることが多くなることから矯正医への相談が必要になります。

 癒合歯は歯の中の神経の形が複雑になる場合が多いので虫歯にならないように定期的に歯科医院へ行き注意深く経過観察し予防的なケアを行うことが推奨されます。また生え変わりの時期になると乳歯の癒合歯は歯根の吸収不全を起こす事があったり後に続く大人の歯が2歯とも存在する場合、それぞれの永久歯の萌出時期が異なるため萌出に悪影響を及ぼすことがあります。その場合の対処法としては必要に応じて乳歯癒合歯の分割や抜歯などの処置を行います。

もしご心配のお子様がおられましたら定期的な健診をお勧めいたします。

親知らずは抜いた方が良いのか

2024/02/17

今回は親知らずについてです。私も歯学生の時に矯正治療のために骨を削って親知らずを抜歯してもらいました。抜歯後1日目対して痛くもなくて調子に乗って友人と軽くお酒を飲みに行ったら翌日からすごく腫れたのを覚えています。まさに自業自得です(笑)

よく芸能人なども凄く腫れたとブログに頬の拡大写真など載せたりされてますよね。ではなぜ親知らずは抜かなければならないのでしょうか?また親知らずは全て抜歯しないといけないのでしょうか?いえそんな事はないと私は思います。まず親知らずは他の歯が虫歯などで抜歯になってしまった際に親知らずのサイズが抜歯した他の歯とサイズがうまく合えば移植歯🦷として使うことができるのです‼️

「歯の移植なんてできるの?」と思われる方もいらっしゃると思いますが、当院でも多くの患者様に移植してきました。比較的成功率も高く若い人であればあるほど成功率は高くなります。インプラントより優れているのは何より自分の歯で噛める‼️また根の周りにある歯根膜(ショックアブソーバー的な役割)という素晴らしい組織が歯周組織や骨を治癒促進してくれるところです。なので虫歯もなくちょっと斜めに萌えてたりまっすぐ綺麗に萌出している親知らずは抜歯する必要はありません。

しかしながら親知らずを抜かないといけない場合も多くあります。大抵はこちらの方が多いかもしれません。

以下にその例を並べます。

①周りの歯茎が頻繁に炎症(腫れたり、赤くなったり、痛みが出たり)を起こす

②親知らずが原因で手前の歯に大きな虫歯ができてしまった

③親知らずが原因で歯の萌出異常(歯並びに影響)を起こした

④親知らずが原因で深い歯周ポケットが形成され骨吸収が起こった場合

⑤親知らずが含歯性嚢胞を形成してしまった場合

このような場合は親知らずの抜歯が必要です。

もし親知らずのことで心配なことがあればご相談ください。

乳幼児期の食器共有について

2023/09/12

こんにちは、最近朝と夜は少し涼しくなりましたね。

今日もゲリラ豪雨で外はすごい状態でした。

さてタイトルの件ですが、僕も割と自分の子供に3歳までは自分の使ったお箸やスプーンなどで食事を与えないようにしていました。お恥ずかしい💦

正直子育てしているお母さん方がそこまで気にしている余裕なんてないくらい大変だとお思います。

そしてついに口腔衛生学会がR5年8月31日に正式に発表してくれました👏

①親からの口腔最近感染は食器の共有前から起こっている

日々の親と子供のスキンシップで子供は親の唾液に接触しますので食器の共有を避けるなどの方法で感染を防ぐことを気にし過ぎる必要ではない。

②う蝕の原因菌はミュータンス連鎖球菌だけではない

よくネットやTVの情報でう蝕の原因になるミュータンス連鎖球菌は親の唾液から子供に感染するという情報ですが現在ではう蝕の原因は特定の細菌の感染で起こるものではなく、様々な菌が関わり合いながら環境の変化によって引き起こす非感染性の疾患と考えられているのが世界の一般的な考え方です。

③食器の共有に気をつけていても子供のう蝕に差はなかった

う蝕に関連する複数の要因を調べた日本の研究では、3歳児において親との食器共有とう蝕の関連性は認められていないことがわかった👏

④子供のう蝕予防にはフッカ物の応用と砂糖摂取のコントロールで対応

との見解を示してくれました。エビデンスもしっかりしておりこれでお母様方の心配も少しは解消されると思いますので、僕たち歯科医師も知識をアップデートして患者さんに情報発信を行いより良い医療の提供を心がけていくようにします。